いつ頃だったか覚えていないのですが、漠然と「有志の受講者たちとノルウェー語の本を読む”読書会”を始めてみたい」と考え始めました。
読書会の経験を振り返ると・・・30年近く前に参加した「北欧5か国語読書会」、また1997年頃にDILAという語学学校でノルウェー語を教えていたのですが、オスロ大学の留学を終えて2000年に帰国。都内の喫茶店で元受講生の方々と細々と読書会をやっていました。
ただ現在の受講者の皆さんたちと読書会をするのには、遠隔地の方もいらっしゃるのでオンラインを選択。案内メールには以下の3点を強調しました。
・オンラインかつレベルが異なる方々との読書会は初めて。初回の読書会はあくまでも実験であり、運営が難しいようであれば今回限りにする。
・こちらは「読書会」であり、レッスンに非ず。私が一方的に「教える」ことは避けたい。受講料は無料。
・皆さんに順番に読解していただくというスタイルではなく、読んでみたい方々が発言して欲しい。黙って聞いているだけでもOK。
テキストは、以前こちらのブログでも紹介したグラフィックノベル”Ti kniver i hjertet”『神さまに誓って』(ノーラ・ドスネス作)を選びました。文字ばかりだと、初学者の方にはキビシー。可愛いイラストがあった方が読むモチベーションが上がり、またイラストから「現代のノルウェー」が垣間見られるかな、と推測。ま、最大の理由は「私が他の人も交えて読んでみたかった」に尽きますが。
4月某日夜。6名の生徒さんたちが参加して、読書会スタート。皆さんの簡単な自己紹介、私から「読書会」の再度の注意(失敗したら次はありませーーん)をしました。
私の方から、本書や作者の紹介をして、タイトルの”Ti kniver i hjertet“の意味を軽く解説しました。いよいよ本文を読んでいきます。
今まで外国人向けのノルウェー語テキストを授業に使ってきましたが、本書のセリフやテキストは、それとは異なります。冒頭、こんな吹き出しで始まります。
”Pakket ferdig?” 「パッキングはできた?」
”JAAA!Stikker i Dokkestua.”「はーーーい。人形の家へ行くね」
授業で説明をした「ノルウェー語はほぼ主語が省略できません」が、総崩れの会話です。主語どこにもなーーい!!
次のページで主人公Noraが家から少し離れた場所にある”Dokkestua”「人形の家」に走っていくシーンが描かれていますが、そもそも”Dokkestua”って何??
小さい子どもが遊ぶ「人形の家」とは異なった、離れのような小さなお家が描かれています。
「これはどう訳せばいいでしょうね?」と私がみなさんに問いかけると、いろいろな提案や意見が返ってきました。
私はノルウェーの友達の家で見た「子どもが遊ぶためだけの離れの小さな家」について補足説明をしました。主人公Noraの家は特別、裕福ではないですが、こんな空間があるなんて子どもにとっては夢のよう。

友だちの家にあった子どものための離れ
本書はNoraの日記スタイルで進んでいきます。私はこのセンテンスをどう訳すか、皆さんに問いました。
Kjære dagbok!「親愛なる日記!」
そうなんです、日記は擬人化された存在となり、Noraは会話をするように日記と対峙します。英語のdearに相当するkjære。
生徒さんの中から「今はあまり”親愛なる”って言わないですよね」とか「アンネの日記を思い出します」といった感想がありました。ふむふむ、やはり読む人が増えるといろいろな読み方や感想があっていいですね!
物語は夏休み最後の日から始まります。ベランダで、Noraは友達のように仲良しのパパとアイスを食べながらおしゃべりをするシーンが描かれています。
「ノルウェーに染まりすぎた」私には何の違和感もなかったのですが、「こんなお父さん、いいですよね。夏休み最後の日に娘とアイスを一緒に食べて、おしゃべりをしてくれるなんて。」という生徒さんの感想がありました。

パパとNora、アイスのシーン
虚を突かれました。そっか、そう見えるんですね!
ノルウェー映画『センチメンタル・バリュー』(”Affeksjonsverdi”)に、家庭を捨てたエゴイストの映画監督の父親が出演します。この生徒さんは映画鑑賞後、「私にはあの父親がそんなにひどいとは思えませんでした。日本の父親でひどい人、もっとたくさんいます」とすごく率直な感想を語られて、やはり目から鱗でした。
ノルウェーや北欧的価値観に染まっちまった私。周囲もそんな人が多いですが、より一般的な感想に触れることが大事だなぁとしみじみ。
最後に皆さんに感想を伺ったところ、正直に「読むのに疲れました」という方がいました。テキストとは違う難しさがありますよね。
他には「イラストが可愛い」「これからも続けて欲しい」といった前向きなご意見も。
私は皆さんに「読む楽しさ」を体験していただきたい、また私にとっても学びが多いので、今後も細々と続けていきたいです。God lesning!「楽しい読書を!」

課題図書







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