ブログ

「絵本から見る、北欧・デンマークの子どもと暮らし」に参加しました!

Twitterを始めたのは2011年。もう7年ですねー。縁は異なもの味なものと言いますが、Twitter経由で知り合いができるのも楽しいです。中でもデンマーク在住の「さわぐり」さんのTweetは「うんうん」とうなずく内容ばかり。図書館司書というお仕事柄、興味のある児童書のお話だったりデンマークのリアルな話だったり・・・。一方的にシンパシーを感じていたのですが、7月にひるねこBOOKSさんで「絵本から見る、北欧・デンマークの子どもと暮らし」というトークイベントをさわぐりさんがして下さると分かった時は・・・地球に感謝しました~~!

7/11当日。思えば一度もお会いしたこともお顔も拝見したこともない・・・店のドアを開けると、さわぐりさん=さわひろあやさんと初対面!ノルウェー語の元生徒さんにルックスが似ていて驚きました・・・

北欧国旗キャンディーをいただきます!

ご実家の京都から(さらに言えばデンマークから)スーツケースいっぱいに運んだと思われるたっくさんの絵本が、椅子に積まれています。トークイベントは1時間半くらいだったのですが、あっという間に感じました。
最初に簡単な自己紹介からスタートし、大きく4つのグループに分けた北欧のデンマーク語版絵本を見せながら紹介してくれます。

1.家族や性別役割分業の多様性
パパは仕事、ママは育児や家事といった従来の性別役割分業を軽やかにひっくり返す絵本を紹介してくれました。
Baby sur“「あかちゃんは不機嫌」などの父さんと子どもしか描かれていない絵本。そこでは、ごく当たり前のように家事をするお父さんがいて、お母さんは?という説明もナシです。比較的、簡単なテキストで描かれた絵本は、現実の生活でもお父さんは家事をしているので、子どもは驚きはなく受け入れらるだろうな~と感じます。
逆に”Pia Linda og Mor“「ピアリンダとお母さん」ではパンクなお母さんと子どもだけが出てくる絵本。子どものためにかいがいしく世話をするお母さんではなく、どこまでも自由でマイペース!こんなママもいいよね~と感じます。
慈愛に満ちたさわぐりさんはノルウェーの絵本も紹介してくれました!
Krigen”「戦争」はグロー・ダーレさんの絵本です(拙訳『パパと怒り鬼 話してごらんだれかに』と同じ作者)。共同親権のノルウェーや北欧。子どもはパパとママの間を往復します。一見「平等な取り決め」ですが、絵本で描かれた長女は疲弊しきっています。まさに戦争下の少女兵のように・・・。デンマークでの本書の扱いは、普通の児童書棚ではなく、特別な家族問題をテーマにした棚に置いてあるそうです。

Krigen 戦争

もう1冊のノルウェーからの絵本は大好きな”Johannes Jensen”「ヨハンネス・イェンセン」シリーズです。クロコダイルの税務署職員が主人公というシュールな作品ですが、「父になるまでの不安や葛藤、まわりのサポート」がユーモラスに描かれています。イラストは『うちってやっぱりなんかへん?』のトーリル・コーヴェさん。

Johannes Jensen人形・・・

紹介された絵本を通じて、北欧における家族の「多様性」は着実に進み、絵本の世界でも例外ではないことがわかりました!

2.デンマークらしさ
まずは50年くらい読み継がれている作品”Mis med de blå øjne“「青い目の猫」からスタート。参加されていた森百合子さんの愛読書でもあるので、おお!と驚きます。青い目をしているだけでバカにされてしまう猫。その背景には戦後、人種差別をなくし寛容の大切さ、人と違っていても恥ずかしくないというメッセージが込められていたとのこと。今ではデンマークの小学校1年生の教科書に載っているとお聞きし、それこそが「デンマークらしい」と感じました!印象深かったのは「デンマークでは3,4歳の子どもに対しても意見や感想を聞く」という言葉です。確かに・・・だから意見を持って言えることが大事にされる社会なのだなぁとこれまた納得です。

「ユーモア、ちょっとブラックなユーモア」もデンマークらしさだそうです。嘘がつけない男の子に対して大人が講じた策は?(原題失念「世界一お行儀の悪い男の子)のオチに笑いました・・・
さらに「オープンさ」もデンマークらしさとのこと。とかく「PC=ポリティカルコレクトネス」なスウェーデンに比べて「ぶっちゃけている」デンマークらしさが表されているのは、性や身体をあからさまに描いた”Til de nysgerrige“「好奇心のある人へ」という絵本です。見た瞬間、昔、デンマークで出版された『あかちゃんはこうしてできる』を想起しました。子どもの時からSexに対する幻想を痛快なまでに粉砕するリアリスト、その名はデンマーク人!

3.絵本ならではの可愛らしさ
アイスランドの絵本を取り上げて下さり、おおーと感激です。アイスランド人なのに極度な寒がりの女の子が主人公のStínaを描いた絵本は、日本人ウケするような可愛いイラストと内容でした。エージェントのサイトを見ると、かなり翻訳されているようなので、もしかして邦訳も??他にも、厳しい冬を経てようやく春がきた喜びを描いたスウェーデンの絵本を拝見しました。

4.北欧らしさ
よくノルウェーの本屋で見かける絵本”Alfons Åberg“をピックアップ。こちらはスウェーデンが原作ですが、デンマークでも人気だそうです。あまり北欧人らしくないルックスのアルフォンスという男の子が主人公のシリーズものです。

Alfons人形@オスロにて

Alfons og soldatpapaen”「アルフォンスと兵隊のパパ」を取り上げられました。スウェーデンをはじめ北欧では珍しくない難民。その難民家族とアルフォンスの出会いが描かれた絵本です。さわぐりさんは、北欧で最も厳しい難民政策をとるデンマークの事情についても率直に話してくれました。ともすれば「移民」と「難民」の区別もつけられない日本人と比して、難民はとても身近な存在の北欧人。そしてそうした「絵本らしくない」テーマを絵本にするところが北欧らしいですよね。

その後、参加者の皆さんと質疑応答タイムになり、皆さんは絵本を熱心に見ていました。全てデンマーク語版でしたが、ノルウェー語と似ているので内容がほぼ理解できて嬉しかったですね~。

ごく一部です

デンマーク語だとどんな響きになるのか興味がありました。なので「デンマーク語で少し朗読してくれませんか?」と無茶なお願いをしたら、2ページほど朗読してくれました!ああ、こんな難しいデンマーク語を日本人が読んでいる・・・それだけで感涙ものです。会場は拍手につつまれました!!
さわぐりさんは学校図書館で日々、子どもたちと接していますが「何言ってるの?」みたいな率直な子どもたちのツッコミにあっているとか・・・大人相手とは違うご苦労(もちろん楽しさも)あるのだなーと想像します。

たくさんの絵本を紹介されましたが、このセレクションはさわぐりさんならではのもの。さらに作品背景や感想などを伺うことができて、とても貴重なトークイベントをありがとうございました♪ 
(「ノルウェー語の響きが可愛い」との言葉だけで、余命が伸びる思いがしました~~)

さわぐりさんのnote:https://note.mu/sawaguri_cph
Twitter:https://twitter.com/sawaguricph

デンマーク愛に満ちたお土産をいただきました!

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP