「人は失敗から学ぶことができる」ってビジネス書みたいな書き出しでウットリしています~。
ノルウェー語も同じく。ミスから学ぶことが大事なんですよね。
オスロ大学留学時代、ノルウェー語文法の講義で「外国人が書いたノルウェー語の文章のミスを見つける」という課題がよく与えられました。
「え?この文章のどこに間違いが?」と気づかないぼんやりさん・・・はい、私です。
この時の講師がKirsti Mac Donald(ヒシュティ・マクドナルド)先生。Kirsti先生は、外国人向けノルウェー語を教える第一人者で、たーーーーくさんの語学書を出版されています。今はオスロ大学を定年になったようなので、Kirsti先生の講義を受けることができたのは、本当にラッキーでした。
「文法がこんなに楽しいとは!」という素晴らしい講義でしたね。
そのKirsti先生が出版された本の1冊”Spørsmål om gramatikk“「文法についての質問」について取り上げてみましょう。
「文法って退屈、でもできないと困る」という位置づけでしょうか。
その退屈な文法をいかに効果的に学べるか・・・本書では「ミスから学ぶ」スタイルが貫かれています。
名詞、形容詞、代名詞、動詞、前置詞、統語論(シンタックス)、接続詞と章立てされています。
そして、外国人生徒が書いた間違ったノルウェー語が載っています。名詞の章で冠詞が取り上げられています。
-Hun har venn i klassen. 意味「彼女はクラスに友達がいる」
さて、この文章のミスはなんでしょうか?
はい、venn「友だち」の前に冠詞のenがありませんね。
なので正解は、
–Hun har en venn i klassen.
になります。
英語のa、theが相当する冠詞ですが、ノルウェー語でもそれを付けるか省けるか、悩ましいです。
冠詞に親しみがない言語は、日本語以外にもたくさんありますから、まぁ~難しいですよね。
まず生徒たちのミスのあるノルウェー語が並べられ、そしてこのテーマを解説し、各文章の間違いを指摘していくスタイルです。
本書のありがたい点は、このような「冠詞」やノルウェー語の「不定形・定形」の使い分け、ややこしい前置詞など「外国人の生徒が特に間違いやすいテーマ」をたくさん取り上げてくれていること。
Kirsti先生は長い講師生活で生徒たちのミスをいーーーーーーっぱい集めたのだなぁと分かります。
(私のミスもどこかで使われていたかも??)
ノルウェー語レッスンで、細かい文法の質問を受けることがありますが、その際にも本書は助っ人になってくれます。
Kisti先生の文法説明はとても「正直」。例えば「この文法の説明は曖昧で、一般のノルウェー人は答えに窮する」「この文法は、人によって使い方が分かれる」など書いてあり、なるほど~と参考になります。
私は先生ほどの「ミスのデータベース」は持っていませんが、自分もミスしたり生徒さんも間違える箇所は、かなり分かってきたので、レッスン中には「ここは間違えやすいです」と言い添えるようにしています。
・・・で、最後にSpørsmål om gramatikk“のリンクを貼ろうとしたら、もう販売していないようです・・・(涙)。ノルウェーの本は、重版しないまま品切れで終わり、ってパターン多いですね。少量の増刷はしないのかもしれません。
あ~、買っておいて良かった、あ~、先生の講義を受けることができて良かった、と自己満足のまま、この稿は終わりです。
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