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ワーホリからノルウェー大学留学へ~Tさんの場合~

昨夏、オスロ大学サマースクールに参加した際、とある日本人女性と知り合いました。
ノルウェー語のレベル3のクラスを受講中で、この試験に合格し、ゆくゆくはノルウェーの大学に正規留学したいと計画されていた方です。
サマースクール中はほぼノルウェー語漬けだったのですが、彼女とは街中で会ったり、ランチを一緒に食べて、日本語でおしゃべりを楽しみました。
帰国後に「試験をパスしました!」と連絡をもらい、あーー、素晴らしい!と喜びましたが、その後、コロナで大騒ぎになってしまい毎日は過ぎていきます。
そんな中、「ノルウェーの大学に学籍を得ました」と吉報をいただきました!Gratulerer! と日本から祝意を送ったのですが、貴重な体験をぜひ教えて欲しいなーと思いつきました。
思いついたらすぐに「今までのプロセスを教えてもらえませんか?」とメッセージを送り、快諾をもらいました。以下、私の質問に答えていただいた書面インタビューです。

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回答者:Tjukkekattさん(20代女性)

Q1ノルウェー渡航前、日本での生活を教えてください。

日本の大学を卒業してすぐに就職しましたが、激務に疲れたこともあり一年足らずで辞めました。
退職からノルウェー渡航までの一年間は、ホテルのアルバイトやフリーランスで翻訳業をしながら貯金をしつつ、ノルウェー語の勉強も少しずつしていました。

Q2 ノルウェー留学を考えた動機は?

大学生のときにオスロ大学へ一年間の交換留学していました。そこでノルウェーが好きになり、いつかこの国にまた戻ってきたいと漠然と考えていました。
仕事を辞めたのと同時に、中途半端になっていたノルウェー語学習を再開し、このままノルウェーへ移住するのもありだなと思いました。
手始めにノルウェーのワーキングホリデービザを取得して現地で働こうと考えました。ノルウェーでのワーホリの場合、3ヶ月以内なら学校へ通ってもいいということを知り、
すぐさまオスロ大学のサマースクールに申し込み、ノルウェーへの渡航を計画し始めました。

Q3 ノルウェーの大学入学までのプロセスを教えてください。

ノルウェーの大学には一般的に入学試験のようなものはなく、主に高校の成績がポイントとして反映され、自分の持ちポイントによって大学の合否が判定されます。
加えて日本人の申請者は英語・ノルウェー語のレベル証明、一年以上の大学在籍証明などの提出が必要になります。
私の場合、サマースクールにて大学受験レベルに必要なノルウェー語試験に合格できたので、その成績書を提出しました。
英語能力については、日本の大学の英語学科を卒業しているので、卒業証明書のみ提出しました。
2月頃に大学申請用のサイトがオープンするので、期限内に書類をアップロードした後は結果通知を待つだけでした。

Q4 ノルウェー語の学習法やどんな点が難しかったか教えてください。もし差支えなければ、具体的な学習媒体やアプリがあれば教えてください。

オスロ大学での交換留学のときは、教科書を何度も繰り返し読んだり、その教科書のCD音源をiPodでずっと聞いたりしていました。
他にも、授業で新しく習った単語やオスロの街中で見かけた言葉をメモして、自分専用の単語ノートを作り、地下鉄での移動中や食事中などのスキマ時間に眺めていました。
私が留学していた年は、SKAMという人気ドラマがちょうど放送されていた時期だったので、リスニングがてら見ていました。
また、教会や図書館などで開催されるspråkkafé(ランゲージカフェ)にもよく通ってスピーキングの練習をしていました。
今では、教科書ベースの勉強ではなくオンラインでの勉強がメインになり、FutureLearnというサイトのオスロ大学によるノルウェー語コースを受講してみたり、
NRKの番組を見たり、VGというニュースサイトを読んだりしています。
ノルウェー語の難しい点としては、未だにスペリングと発音の違い(例えばungu部分はoの発音、overo部分はåの発音など)には苦戦しており、
ノルウェー人の友達に頼んで発音のチェックをしてもらっています。

オスロ大学です!

Q5 ノルウェーに移ってから、何かお仕事はしましたか?差支えのない範囲で、どんな仕事か、収入を教えてください。

サマースクールが終わってからすぐにKolonialという宅配スーパーの会社で仕事を始めました。
注文の入った商品を袋や箱に入れていく単純作業でしたが、基本時給は約2,150円でした。
その後にレストランでキッチン業務の仕事を始め、そのときの基本時給は約2,200円でした。
一般的にノルウェーにはチップの習慣はないのですが、レストランの仕事では毎月の給料にプラスして、少しだけですがチップももらっていました。

Q6 コロナの影響は受けましたか?どのような対応をされましたか?

コロナウイルスの影響で働いていたレストランから解雇されました。
ノルウェーでのワーホリの条件として、6ヶ月以上は同じ雇用主のもとで働けないルールがあるのですが、タイミングが悪いことに解雇期間中にその6ヶ月が過ぎてしまいました。
コロナのせいで外にも出られず職探しもできない状態だったので、ノルウェー政府によるdagpenger(失業手当)に申請したり、以前やっていたフリーランスでの翻訳業を再開したりして家で過ごしていました。

Q7 ノルウェーの大学へ志願方法は簡単ですか?

必要書類さえ揃えば、それらをサイトにアップロードして結果を待つだけなので出願方法自体は簡単だと思います。
ただ日本人が申請する場合は、最低一年間の大学在籍証明が必要であり、高校を卒業してすぐにはノルウェーの大学を受けることができないので、その点では少し厄介かと思います。
ノルウェーの大学への条件は、毎年よくアップデートされるのでSamordna opptakのサイトをよくチェックすることをオススメします。

Q8 ノルウェー留学やワーホリを考えている人へ、アドバイスがあればお願いします。貯金はどれくらいあればいいと思いますか?日本から持参した方がいいものは何がありますか?

普通の交換留学ならノルウェー語が話せなくてもほとんど問題はありませんが、ワーホリのようにノルウェーで働くとなると、ノルウェー語を話せることが仕事の応募条件であることが多く、
ノルウェー語ができないと面接にさえ呼んでもらえないこともあるので、渡航前にある程度勉強しておくことを強く勧めます。
ワーホリ時の貯金については、UDI(ノルウェー移民局)のチェックリストに記載してある金額の倍以上あった方が良いかと思います。
時期的に仕事がなかなか見つからなかったり、今回のコロナウイルスのような不測の事態が起こったりした際にも、精神的な余裕が違ってくると思います。
また、ノルウェーの大学への正規入学を考えている方へ、高校の卒業証明書と成績書は絶対に必要です。
学校の証明書発行期限が切れる前に必ず発行してもらってください。私は期限が切れていたせいで時間がかかってしまったので…

Q9 ノルウェーで暮らして、楽しかったこと、つらかったことを教えてください。ノルウェー人と接する時に心がけていることはありますか?

私はノルウェーの首都であるオスロで暮らしていますが、街の中心部からすぐのところに湖や森やフィヨルドがあり、自然との距離がとても近いです。
日々の生活に少しでも疲れを感じたら、すぐに自然に触れ、心を癒します。
オスロでは夏になると、近くにある島までフェリーで遊びに行くのが恒例なのですが、今年も釣りやピクニック、ハンモックで読書などを楽しみ、島の自然を満喫しました。
ノルウェーには、他のヨーロッパ諸国のように移民や出稼ぎの人も多く、私の働いていた職場にも様々な国籍の人がいました。
そんな中で、日本人とは異なる仕事観を持つ人たちと働く環境は、かなりストレスを感じることが何度かあり、少しつらかったです。
何か気になることがあればその都度伝えるようにし、職場全体としても全員が気持ち良く働けるよう、ボスを含めた意見交換の場が定期的に設けられるようになりました。
学校や仕事を通して色々な国の人と接してきましたが、特にノルウェー人はシャイな性格です。話題が途切れると、少し気まずくなるのはしょっちゅうです。
ですが、そんなシャイな彼らに私がよく感心するのが、自分の意見をしっかり持ち、きちんと伝えられることです。
大学の講義や職場のミーティングでも、どんどん発言します。
なのでノルウェー人と話すときには、積極的に意見を言うようにし、ときには事前に調べたものを準備して、対等な立場で話せるよう心がけています。

Q10 もしekstraに書き添えたいことがあればお願いします!

私がノルウェーを好きになったのは、大学時代の交換留学がきっかけだと書きました。
しかし当初は違う国への留学を希望しており、大学側の都合により変更した留学先がオスロ大学でした。不本意な形でのノルウェー留学でしたが、ノルウェーという国に惹かれて今に至ります。
ノルウェーは、私にとって本当に特別な国です。きっかけは何であれ、もっと多くの日本人の方にノルウェーの魅力を知ってもらえたら嬉しいです。
みなさんのノルウェーへの渡航が良いものになりますように。Takk!
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まずはお忙しい中、インタビューにご協力をいただき、ありがとうございました!
Tjukkekattさんからいただいた回答を一読し、とても丁寧かつ誠実な内容に感動しました。文面から十分に伝わってきますが、とても真面目で積極的な方です。
ここに書いて下さった以上の苦労を重ね、そして努力を積み重ねたと思いますが、前向きな姿勢を崩さず、素晴らしいですね・・・・!
ノルウェー語を教える立場としては、「ノルウェー語学習の大切さ」を強調していただき、嬉しいです。
ぜひ今月からスタートする留学生活が充実したものでありますよう、心から願っています。
Masse lykke til videre!!

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