今夏、5年ぶりにノルウェーを旅して、「やっぱりノルウェーの自然はすごい」としみじみ思いました。骨折していた身体であっても、ノルウェーの多様な自然に感動。おしゃれ北欧、かわいい北欧の仲間入りは難しいかもしれないけど、「自然」というカテゴリーだったら負けません!そんなノルウェーへ少しでも多くの人が訪れて欲しいのですが、そんな簡単じゃないですよーという方、ノルウェー映画『Song of earth/ソング・オブ・アース』(原題”Fedrelandet“)を劇場で鑑賞していただきたいです。
私は9/3に開催されたプレミアム試写会でのトークショーに登壇しました(配給会社トランスフォーマーの國宗さん、大変お世話になりました!)。その時に話したこと・話せなかったことを書き連ねてみたいと思います。
映画について
地球上でも有数の壮大なフィヨルドを誇るノルウェーの渓谷「オルデダーレン」。そこに暮らす老夫婦の姿を、娘でありドキュメンタリー作家のマルグレート・オリン(Margreth Olin)が1年をかけて密着する。
総勢9名のカメラマンによって捉えられた圧巻の映像美や、氷河や湖のフィールド・レコーディングを楽譜におこし、オーケストラで演奏するといった究極の音へのこだわり。スクリーンへの没入感を体感できる撮影手法は、数々の映画祭で高く評価され、北欧ドキュメンタリー映画祭では最優秀撮影賞を受賞。『PERFECT DAYS』のヒットも記憶に新しい巨匠ヴィム・ベンダースと、リブ・ウルマンが本プロジェクトに共感し、製作総指揮を担当したことも話題となった。大地に根を下ろし、シンプルで豊かに生きる両親の姿から、娘は人生の意味や生と死について学んでいく。生きるとは、老いるとは何かー厳しくも美しいノルウェーの四季と共に生きる家族の姿を通して、人生を探求する感動のドキュメンタリーだ。(映画チラシより引用)
西ノルウェーについて
映画の舞台「オルデダーレン」(Oldedalen)は西ノルウェーのノールフィヨルド(Nordfjorden)に位置します。私が最初に留学した大学はVoldaという町にあり、同じエリアです。オリン監督もVoldaカレッジで学ばれていたことを知り、嬉しくなりました!さらに映画に度々、登場するヨステダール氷河Jostedalsbreetの一部であるブリクスダール氷河Briksdalsbreetに登ったことがあります。「氷河は遠くで見ればきれいだけど、登るのは大変!」と息を切らせながら歩を進めたことを覚えています。
そんな私的に思い入れがある西ノルウェー=Vestlandetの特徴を挙げて行きましょう。
●自然や天候
いわゆる「ノルウェーらしい」風景です。壮大なフィヨルド、氷河、山々、滝、断崖絶壁などが観光ポスターに使われています。
気候は雨が多く太陽は貴重。映画の中でお父さんが「晴天に恵まれた、すごい幸運」と言っていましたが、まさにその通りです。冬は極寒にはなりませんが、夏の気温もそれほど高くなりません。
●人々について
美しい自然は反面、厳しい自然でもあります。そこで暮らす人々は、肉体的にも精神的にも「自立すること」が不可欠だと思います。ノルウェー人の友達に尋ねたところ「強い女性の伝統がある」とのこと。自然災害、例えば漁師の夫を海で亡くした女性が、何とか生活を切り盛るイメージがあると教えてくれました。映画で「キリスト教」について言及がありますが、現代のノルウェーはそれほど信心深い国ではありません。ですが、西ノルウェーはBibelbeltet=バイブル・ベルトと呼ばれる熱心なキリスト教信者が残っているエリアです。
●もしかしてエコーネス?
トークショーでは「ノルウェーのデザイン」についてもお話しました。ご両親のお宅のリビングが映し出されるシーンがあるのですが、座っている椅子はエコーネスEkornesのストレスレスチェアかな?と思いました。エコーネス社はやはり西ノルウェーにある会社です。
印象的なシーン
たくさんありますが、特に「ノルウェー的」と感じた箇所をピックアップしますね!
●あるのは悪い服だけ
Det fins ikke dårlig vær, men bare dårlig klær. 「悪い天気なんてないよ、あるのは悪い服だけ」というノルウェーのことわざ。天候に合わせた服装や備えをせよ、という意味ですね。映画の中でも、ことわざが実践されていると感じました。84歳のお父さんは、日々、氷河や山道をたくさん歩いていますが、春・夏・秋・冬と身に付けている服や小物、靴が変化しているのが分かります。こればかりは小さな頃から体に染みついた「能力」なのでしょう。美しい自然へのアクセスには、それ相応の準備が必要なのです。
●詩のような響き
映画の舞台オルデダーレンはニーノシュクの自治体。そう、ノルウェーで使用人口が1割程度のニーノシュクです。監督のご両親が口にする言葉は、まるで「詩」=diktのように響きました。歌うシーンもありますが、全体的に音楽的な印象です。災害で亡くなった先祖の名前を読み上げるシーンも、あたかも詩のように聞こえました。ノルウェー留学時、日本の学校よりもたくさんの詩を読んだことを覚えています。オスロの小学校に通っていた生徒さんも「学校でたくさんの詩を暗唱しました」と教えてくれました。日本で「詩」というと、少し構えた感がありますが、ノルウェーの方が「詩」は生活に根付いていると思います。
●焚き火、最高!
本編では、とても美しい焚き火シーンがあります。ああ、焚き火だ!とテンションUPしました。焚き火やキャンプファイヤーをして過ごすノルウェーの夏至祭=Sankthansaftenを想起します。
今夏のノルウェー旅行で、フィヨルドを見ながら焚き火を楽しみました。日本よりもハードルが低いノルウェーの焚き火。一度体験したら病みつきになります。まずは映画で疑似体験をしてみてください!
お勧めの本と映画
試写会トークショーでは「ノルウェーを知るためにお勧めの本や映画を教えて下さい」と質問を受けました。時間に制限があり、泣く泣く数を絞りました。渾身のセレクションはこちらです!
●書籍
『朝と夕』(ヨン・フォッセ著、伊達朱美訳、国書刊行会」…『Song of earth/ソング・オブ・アース』と同じようにフィヨルドが舞台。年老いた男の孤独、亡き妻への思慕が独特な文体で描写。ノーベル文学賞作家の初邦訳小説。
『テーマで学ぶノルウェー語』(青木順子著、白水社)…ノルウェーの食習慣、メディア、自然、産業など18のテーマでノルウェー語とノルウェーを理解できる1冊。語学書らしくない語学書を目指しました!
●映画
『ロスバンド』(クリスティアン・ロー監督)….ノルウェーの南から北の景色が楽しめるロードムービー。AmazonPrimeで視聴できます!
『わたしは最悪』(ヨアキム・トリアー監督)….オスロ愛あふれる映画!「オスロってつまらない街」と思っている方、ぜひご覧あれ!
映画情報
題名:『Song of earth/ソング・オブ・アース』
公開:9月20日(金)TOHOシネマズ・シャンテ、シネマート新宿ほか全国公開
監督:マルグレート・オリン『もしも建物が話せたら』
製作総指揮:リブ・ウルマン(『仮面/ペルソナ』、ヴィム・ベンダース『PERFECT DAYS』『ベルリン天使の詩』
出演:ヨルゲン・ミクローエン、マグンヒルド・ミクローエン
2023年/ノルウェー/ノルウェー語/94分
日本語字幕:岩辺いずみ/後援:ノルウェー大使館/配給:トランスフォーマー
★『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』コラボ企画概要★
■フィンツアー
北欧の魅力を発信するカフェ&ショップ〈Hyvää Matkaa!〉にて、本作のマルグレート・オリン監督と語る公開記念イベントが決定!(オンライン開催)また、ノルウェーのスイーツ「ブラウンチーズのワッフル」と「サーモンクネッケ」も期間限定メニューとして登場します。
場所:Hyvää Matkaa!ヒュバ・マトカ(東京都渋谷区神宮前5-18-10 エクサスペース1-A)
https://www.nordic.co.jp/news/28637/
トークイベント実施日: 9月17日(火)19:00より
※オンラインムビチケ付きイベントチケット有。詳細はURLをご確認下さい。
イベントURL
https://www.instagram.com/finntour_hmc/
■Norwegian Icons Tokyo
ノルウェーのインテリアデザインを紹介するNorwegian Iconsが、体験型展示として商品を提供している箱根の隠れ家に『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』をイメージしたスタイリングを展開。木々に囲まれた静かな窓辺には寄り添う夫婦と娘の姿を模したベンチと椅子が置かれ、傍にあるビンテージ棚には映画のワンシーンを切り取った写真が飾られています。日本の季節を体感しながら、ノルウェーの四季に思いを馳せて旅してみてはいかがでしょうか。
場所:箱根・小涌谷
期間:9月10日(火)~2025年3月31日(月)まで
URL:https://www.airbnb.jp/rooms/2794750?guests=1&adults=1&s=67&unique_share_id=5e6c6c8b-1f5c-46b6-bc4d-45d9ea272599
■FUGLEN
ノルウェー首都オスロ発祥のヴィンテージの北欧家具を扱うカフェ&バー「FUGLEN」の日本各店にて、映画のオリジナルポストカードを配布します。
実施店舗:富ヶ谷、浅草、羽根木、登戸、福岡、参宮橋
期間:ポストカード納品後随時~10月中旬頃まで(無くなり次第終了)
URL:http://fuglen.com/
■メッツァビレッジ
「~映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』×メッツァビレッジ~ 北欧ノルウェーが舞台!映画&メッツァで旅する避暑キャンペーン」を開催。森と湖に囲まれた自然豊かなメッツァビレッジでも、「ノルウェー」「自然」をキーワードに、映画とメッツァがゆるやかにつながります。劇中の印象的なボートシーンを追体験できる木製ボート「クラシックカヌー」に乗船した方へ『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』オリジナルポストカードをプレゼント。ノルウェーの食文化を体験できるさまざまな期間限定メニュー、映画の名シーンを展示したミニギャラリー、SNSでのプレゼントキャンペーンも実施します。
場所:メッツァビレッジ (埼玉県飯能市宮沢327-6)
URL: https://metsa-hanno.com/event/34642/
期間:9月20日(金)~10月27日(日)
■モリパーク アウトドアヴィレッジ x MOVIX昭島
説明:アウトドアに特化した複合商業施設「モリパーク アウトドアヴィレッジ」にて期間中にお買い物をしたレシートをMOVIX昭島グッズ売り場にご持参頂いた方に、オリジナルポストカードセットをプレゼント。
公開後は、先述のレシートとMOVIX昭島で本作ご鑑賞の半券の両方をMOVIX昭島グッズ売り場に持参するとB2ポスターを進呈。(数量限定・先着順)
場所:モリパーク アウトドアヴィレッジ(東京都昭島市代官山二丁目6-1) https://outdoorvillage.tokyo/
MOVIX昭島(東京都昭島市代官山2丁目4-2)
https://www.smt-cinema.com/site/akishima/index.html
期間:9月13日(金)~9月26日(木)
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