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子どもにも選挙番組!

ノルウェー国営放送(NRK)は子ども向けチャンネルNRK Superがあります。以前、ブログで「子ども向けニュース」について書きました(こちらをご参照ください)。
子ども向けニュース”Supernytt”は、統一地方選挙に合わせて特別番組を放送しました。ノルウェー語レッスンのクラスでお見せしたところ興味を持たれる方が多かったので、書いてみます。

番組名は”Supernyttdebatten 2019“で8/26にOAされました。今でもネットから視聴できます。
私も生徒さんたちも驚いたのは、番組には首相を始め、各党党首級が揃ったことです!番組の想定視聴者年齢は8歳から12歳。ノルウェーの選挙権は18歳から。早い段階で「政治を身近に感じてほしい」という意図を感じますね。

番組は子どもが飽きないように構成されています。
まずルールとして「難しい言葉を使わない」「発言するときは挙手」「相手の発言を遮らない」「相手のせいにしない」が発表されます。これ、すごく大事!子どもが観ているのですからね。
それから自己紹介ならぬ「他者を褒める」コーナーから開始します。
各人がカードで引いた相手の「良いことを言う」(Si noe fint)という趣向なのですが、いやー、面白いです。

ルールです!

たとえ政治的に対立する政治家についても褒めているのですが、「あ、この人は相手にちゃんと敬意を持っている」と画面越しに伝わってきました。
例えば首相のErna Solbergは、MDG(緑の党)のUne Bastholmについて「環境問題にとても熱心で、具体的なことに取り組むのが上手」と褒めています。緑の党は、首相の保守党とは相いれない部分がたくさんありますが、個人としては評価していることが分かります。
ここ近年、トランプ大統領を始め、自分の「敵」を徹底的に悪口を言う風潮に慣れてきました。なのでノルウェースタイルがとても優しくて「こうありたい」と感じました。

番組の中では地方選のテーマである”Bompenger“(ある橋や道路を渡る際の通行税)と”Lekser“(宿題)が取り上げられます。
各人がそれぞれの党の見解を30秒でプレゼンしましたが、お見事でしたー。子どもにも分かりやすいプレゼンになっています。
ところで「宿題が選挙のテーマ?」と驚かれるかもしれませんね。ノルウェーの学校で出される宿題は、量が多くて嫌になり学校嫌いになる子どもがいること、さらに手伝ってくれる両親がいる子どもといない子どもがいて格差が生まれている問題が可視化されてきました。
できる子どもはさらに勉強ができるようになり、できない子どもはもっとできなくなる・・・日本でいうところの「教育格差」でしょうか?

各党代表者が「宿題を出す・出さない」に賛成か反対かを30秒でプレゼンをします。
例えば反宿題の政治家が「みんながみんな、宿題を手伝ってくれる親がいる訳ではなくて不公平だ。ただ宿題の内容によっては、学校で先生と一緒に宿題をすることを提案する」と主張。
宿題賛成派の政治家が「算数や英語の練習は必要。家でやった方が休んだり、他のこともできて良い」など、とても真面目に子どもたちの宿題をどうするか?についてプレゼンします。
子ども相手と媚びる訳でもバカにするでもなく、一生懸命に考えている姿勢に心が打たれます。

白熱ディベート!

しかーし。やっぱり子ども向けの部分もありますよ。
最後にクイズ大会がありました。政治家たちがチームを組んで「子どもなら簡単に解けるクイズ」に挑戦します!
なかなかの接戦でしたが、首相がいるチームが優勝!パンダの着ぐるみと一緒に踊ります。
「若者の政治離れ」を憂うだけではなく、子どもたちが政治に興味を持つように大人は何ができるか?を問いかける番組でした。

優勝プレゼントのパンダを抱える首相

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