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統計からみるノルウェー

偏愛するSSB(ノルウェー中央統計局)が最新の統計集”Dette er Norge 2020“を発行し、早速、無料でいただきました!(サイトから注文すると誰でも貰えるみたいです)

ノルウェー統計集

Dette er Norge 2020

ノルウェー語レッスンで、皆さんと一緒に統計を見ながら、ミニ解説をしましたが、ブログでも一部を紹介したいと思います(自分が興味深い箇所のみを取り上げていますので、偏りあります!)

人口と移民

ノルウェーの人口は増加しています。
1990年:423万人
2010年:485万人
2020年:536万人
このまま順調は増えて、2050年には600万人を超えると予測されています。もちろん日本に比べてば「小国」ですけどね。

オスロを歩いていると「移民が多いなぁ」と感じますが、どんな国籍の人が多いのかランキングが載っていました。
1.ポーランド Polen
2.リトアニア Litauen
3.スウェーデン Sverige
以下、難民枠と思われるシリア、ソマリア、アジアからはフィリピンやイラク、パキスタンがランクイン。アメリカ大陸やオセアニアは入っていません。

婚姻にまつわること

ノルウェーでは結婚せずに同棲や事実婚状態にあることをsamboと言います。
1980年代からsamboを選択する人は増えて、2020年にはカップルの31パーセントがsamboです。興味深いのは、地域差があること。
キリスト教信者が多いエリアほどsamboは少ないということで、南ノルウェーや西ノルウェーでは低い水準です。一方、オスロや中央・北ノルウェーでは高い傾向に。
以前、キリスト教のノルウェー人と話した時に「samboは無責任で、ちゃんと結婚をしないとダメ」と言ってましたが、そうした考えが反映されているのかもしれません。

さて同性同士のカップルについて。
ノルウェーでは、1993年からPartnerskap「パートナー婚」と呼ばれる同性同士の準婚姻が認められました。
2008年より性別の区別のない「婚姻法」が制定、2009年より施行され、同性同士の結婚が可能となりました。
グラフでは、濃い青が男性同士、水色が女性同士のパートナー婚と婚姻の推移が記されています。

同性婚の変化

同性婚にみる変化

当初は男性同士のカップルが多かったのはわかりますよね。ですが、女性同士のカップルが増加を続け、今では約2倍の差があります。
SSBの解説にはその背景が記されていませんが、興味深い結果です。

教育に関するデータ

よく知られた事実として「女性の高学歴化」が挙げられます。現在、大学生の6割は女子学生。博士課程になると男女比が50/50だそうです。
海外への留学も女性の方が積極的で、6割以上が女性だとか・・・(日本も同じ??)。人気の留学先ランキングは・・・
1.英国 Storbritannia
2.デンマーク Danmark
3. アメリカ USA
4.ポーランド Polen
5.ハンガリー Ungarn

4位と5位のポーランドとハンガリーは医学部への留学が有名です。
ノルウェーで医学部への入学はとても狭き門。東欧の大学の医学部で勉強すれば、物価は安く、しかも医学部資格がノルウェーでも有効という理由で、人気になっています。

ジェンダーの視点からみた就労・賃金

この統計集を見ていると「ジェンダーの視点が盛り込まれている!」と感動しまーす。
ざっくり言うと、
・男女の就労率は、あまり差がなくなってきた
・パートタイムで働く女性が依然として多いが、昔よりは減っている
・男女の賃金差は存在。男性の平均月収が50080クローネ(約55万円)、女性は43850クローネ(約48万円)

よくノルウェーの男女平等問題にかかわる人が問題視するテーマが「男性の多い職業、女性の多い職業の偏り」です。どんな職業に女性が多いのかというと・・・

・美容師 frisører
・保育士 førskolelærer
・看護師 sykepleier

逆に女性の少ない職業は・・・

・大工 snekkere
・電気工 elektrikere
・エンジニア ingeniører

パートライム労働の多さと加えて、「女性の多い職業は低賃金」という事実も、男女の収入差につながっているのでしょう。

アルコール摂取

このわかりやすいグラフを見て、感動しました!
どのアルコール飲料が人気になって、逆に不人気になったかわかりますか?

アルコール消費変遷

アルコールの嗜好が変化?

Øl「ビール」の人気は安定していますね。90年代から消費量が一気に伸びたのが、vin「ワイン」です!
それと比例するように、落ち込んでしまったのがbrennevin「蒸留酒」です。ウィスキー、スピリッツなどですね。
ノルウェー人がTax freeでどんな風に酒を買っているか。これは一見の価値がありますよー。

メディアや読書

このグラフをレッスンで見せたら「面白い!」とウケられました・・・1日当たりのメディア平均利用時間を示したものです。

メディア利用の変化

メディア利用-今昔

1995年にはfjnernsyn「テレビ」が124分→2019年 78分へ減少。
そして2019年、internettインターネットは178分! とりわけ若い男性のネット利用時間が多いそうです。
ネットが増えると読書、なかでもpapirbøker紙の本は人気が落ちているでしょうか?
これは踏ん張っていました!読書をする人の数は安定しています。男性より女性の読者人口が多く、女性の割合は31%、男性は19%(2019年)。
ジャンルでは純文学が人気ですが、男性はノンフィクションを選ぶ割合が女性より多いそうです。
読者人口の1日あたりの平均読書時間は53分。いかがでしょう?

女性議員

ノルウェーはlikestilling「男女平等」で知られていますが、議員の男女比が載っています。
以下のグラフはヨーロッパ諸国の女性国会議員の割合を示しています。スウェーデン、フィランドについでノルウェーは3位ですね。

女性議員の割合

ヨーロッパにおける女性議員の割合

選挙の投票率について。昔は男性の方が女性より高かったそうですが、今では逆転しています。
いずれにしても、ノルウェーのニュースを見ていると、女性が多い!と感じます(日本の政治ニュースはモノトーン・・・・)

終わりに

本当はもっともっと興味深い統計をご紹介したかったのですが、力尽きました・・・。
SSBの統計集やグラフはとても見やすくて、「これなら読もう!」という気になります。こちらにPDF版のリンクを貼りますので、ぜひご覧になって下さいねー。

SSB:Dette er Norge

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