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子どもに優しいノルウェー王室公式サイト

ノルウェー王室は公式サイト、TwitterやInstagramなどSNSを通じて、自らの活動を積極的にPRしています。
公式サイトに掲載されているハーラル国王のNyttårstalen新年のスピーチを読んでいる時、サイト右上にBarnesider「子どものページ」という文字を見つけました。え?知らなかったとクリックしてみると、子ども向けに編集されたサイトが現れます。こちらでーす。犬のRonjaが案内してくれる体裁になっていますねー。コンテンツは、
Tegninger イラスト
Spørrelek クイズ
Barnas spørsmål 子どもたちからの質問
Filmarkiv 映像アーカイブ
という構成です。

ガイド役のRonja

「イラスト」から覗いてみましょう。王室には子どもたちからたくさんのイラストが送られてくるそうです。「ネットに載せてもいいよ」とメッセージを付けるとこちらに掲載してもらえるみたいですね。各イラストをクリックすると、描いた子どもの名前、年齢、いつの作品か分かるようになっています。王室とはあまり関係なさそうなイラストも掲載されているところに、懐の深さを感じますねー。2017年、ベルゲンで開催された自転車VMのイラストが上手です!(こちらから

「クイズコーナー」は燃えますねー!ノルウェー王室を理解するため、たくさんの問題がクイズ方式で並んでいます。最初のカテゴリー Kong Haraldハーラル国王に関するクイズを覗いてみましょう。こちらをクリック!
Q:今までハーラルという国王は何人いましたか? A.3人、B.5人、C.6人
という問題の答えは分かりますか? 私、ノルウェー伝道師失格です。6人に〇しちゃいましたが、正解は5人です!他にも、国王の犬の名前や王冠がどこに保管されているか等々・・・・
他にも「国王と君主制」「戦争期」などといったカテゴリーにも、多数のクイズが用意されていて「へ~、そうなんだ」と楽しみながら学べる趣向になっています。知らない問題が幾つかあり、今度、北欧検定で使わせてもらいますー。例えば、100歳になった人みんなが国王から手紙をもらえるとは知りませんでした・・・!

「子どもたちからの質問コーナー」は、クスっと笑いつつ「開かれた王室」の在り方について考える内容になっています。「子どもたちからたくさんの手紙をもらいますが、よくある質問に答えます」と並んでいるのが、以下になります。
・国王に苗字はあるの?
・国王の血は青いの?
・国王はどこに住んでいるの?
・王宮には部屋がいくつあるの?
・どうして国王は王冠をかぶっていないの?
・王冠はどんな形?
・国王はお給料をもらえるの?
・国王に訪ねてほしい、と招待することはできる?

全ての回答が興味深いのですが、「王宮にいくつの部屋があるか」の答えはこう書かれています。
Slottet har 173 rom, men sammenlignet med andre slott i Europa er det faktisk ganske lite. Slottet i Stockholm har mer enn 600 rom, og Buckingham Palace i London har 775!
「王宮には173部屋があるけど、ヨーロッパの他の王宮に比べるととても小さいです。ストックホルムの王宮は600以上の部屋があり、ロンドンのバッキンガム宮殿は775もあるのよ!」
確かに・・・オスロの王宮は小さくて地味。ミュージアムと間違える観光客が多いですけど。でもこの「小ささ自慢」にはウケました~。他の質問にもユーモアを交えて答えていて、こんなにフレンドリーであれば、子どもが手紙を書く心理がわかります。

Kongefamilien julen 2018. Foto: Håkon Mosvold Larsen, NTB scanpix

最後は「映像アーカイブ」です。王室の活動を映した映像がYoutubeから見ることができます。クリスマス、お誕生日、外国訪問といった様々な映像が網羅され、子どもたちにとってわかりやすい作りですね。ホーコン皇太子がSamefolkets dag「サーミ人の日」の式典に出席している映像では、皇太子がサーミ語で挨拶をしていました。こちらからご覧になれます。

・・・ということで、わかりやすく充実して楽しいこちらのサイト。子どもの「国王や王妃って何をする人なの?」という素朴な疑問に十分、答えてくれる内容でしょう。
王室と子どもの距離の近さは、ノルウェー絵本『パパと怒り鬼ー話してごらんだれかにー』(グロー・ダーレ作、スヴァイン・ニーフース絵、大島かおり・青木順子訳)に関わった際に少し知ることができました。絵本の中で、パパのDVに苦しむ主人公の少年が、王様にこんな手紙を送ります。
「親愛な王さま
パパはなぐります
ぼくのせいでしょうか?」
その手紙を読んだ王様が、少年とその家族を助けるため家を訪れるシーンに展開します。
これはありがちな「王様が何でも解決してくれる」的な物語ではなく、ある実話が発端でした。絵本の監修を務めたØivind Aschjemオイヴィン・アシェムさんは、DV加害者・被害者支援をノルウェーで行っています。彼がサポートするDV被害者少女が、王様に手紙を書くことを思いつき投函します。その1週間後、国王から招待状が届き、少女を含む子ども6人とオイヴィンさんが王宮に招かれることになりました。そして面会の席で国王は「(DVは)君たちのせいではないんだよ」と言葉をかけ、新年のスピーチにこの体験を盛り込んだのです。
「王室と国民の距離が近い」ことがわかる一例でしょう。

日本の宮内庁のサイトにもキッズページがあり、比較してみるのも一興かと思います。
また以前のブログで、国王の素晴らしいスピーチを取り上げたので、ぜひご覧くださいねー。

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