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マッタ・ルイーセ王女について

昨日、TBSテレビの「Nスタ」に急遽、生出演しました。ノルウェーのMärtha Louiseマッタ・ルイーセ王女のニュース解説をちょこっとだけしました。今朝は「ビビット」の電話インタビューでちょこっと出演しました。
テレビ放送は時間制限があるので、なかなか詳しい背景は伝えられません。余計なおせっかいかもしれませんが、マッタ・ルイーセ王女について過去を振り返りながら、解説したいと思います。

今回、日本でも話題になった件について短く。
マッタ・ルイーセ王女(ホーコン皇太子の姉、王位継承権4位)がアメリカ人シャーマン(霊媒師)と恋人宣言、さらに「プリンセスとシャーマン」というタイトルで講演会を有料で行いました。王女がビジネス目的に「プリンセス」の称号を使うのは許されるのか??とメディアと国民が疑問や批判が上がりました。そこで8月に「収入がともなう活動には王女という称号は使わない」と王女と王室が公式に発表したのです。

マッタ・ルイーセ王女(王室公式HPから)

マッタ・ルイーセ王女のイメージはずばり「スピルチャル系」です。
なぜスピルチャル系に傾倒していったのか?それは彼女の元夫の母、つまり義母(Mariannne Behn)の影響が大きいです。義母はRosen Method Bodyworkのセラピストなんですよね。
何年か前、ノルウェー滞在中に義母のインタビュー記事を読む機会がありました。ヒッピー風の容貌でしたが「彼女が王女をスピルチャル系へ誘う影響を与えたのよね」とノルウェー人の友達が教えてくれました。

王女夫妻が離婚をした際、ノルウェーの一般紙で二人を振り返る記事がありました。「若い頃から、マッタ・ルイーセ王女は、公務のプレッシャーに苦しんでいた」、そしてMariannne Behnと知り合ったことをきっかけに、息子のAri Behnと出会います。意気投合した2人は、2002年に結婚しました。Ari Behnは作家ですが、当時「薄っぺらな本を1冊しか出していない」など揶揄されていましたが、国王夫妻は彼を擁護していました(国王夫妻は、皇太子がシングルマザーだったメッテ・マーリットと結婚する際も、一貫して擁護をしています)。

2007年、マッタ・ルイーセ王女は、女友達と一緒に”Engelskolen”「天使の学校」をスタートしました。え?天使?と驚いた記憶があります。天使が見える、天使と交信できる、などにわかに信じがたいことを仮にも王女が公言しているのか、と。ノルウェーのメディアや人々も「天使の学校」に驚きます。王女だって一人の人間だから好きなことをやる自由はある、ただ王女が(奇妙な)ビジネスを始めるとそれだけで注目を集めるので、王女という立場を結果的に利用しているのでは?と批判や疑問がメディアや人々から上がってきました。
例えばノルウェー国営放送(NRK)は、王女の「天使本」を番組で取り上げすぎて、結果的に広告の手助けをしていると放送委員会のメンバーから批判を受けます。(2014年の記事から)。

2016年、マッタ・ルイーセ王女は離婚します。14年の結婚生活の間に3人の子どもがいました。
2018年に「天使の学校」は閉校しましたが、今年の5月に再び王女は大きな注目を集めます。今回の「プリンセスとシャーマン」がきっかけですね。
私も最初に記事を読んだ時は「おお?」と驚きました・・・。王女のスピルチャルには慣れていたはずなのに、今回はさらに斜め上を行く展開に見えたのです。
瞬く間に、ノルウェーのメディアは「王女という称号をビジネスに利用している」点で批判を開始します。地方紙が「王女の称号を返還すべき」と訴えたり、スタヴァンゲルの教会で予定されていた2人の講演会が司教によって拒絶されるなどなど。

ただし実際の国民の反応は、一概に王女を責めるものではなかった点が興味深いです。
ノルウェー国営放送が5月末に行った世論調査で「マッタ・ルイーセ王女は、王女の称号を返還すべき?」という問いかけで以下のような結果を発表します。

       女性  男性   総合
返還派:  19.8% 30.9%  25.4%
反返還派: 61.5% 50.6%  56.0%
分からない:18.7% 18.5%  18.6%

メディアだけを見ていると「批判一色」に感じましたが、世論調査では「王女のままで良い」と考えている女性が多いことに気づきます。
8月に王室が「王女の称号は収入をともなう活動には使わない」と公表し、再び大きなニュースになりました。その記事のFacebookコメント欄に目を通すと「良かった、安心した」という意見、「もう静かにさせてあげて」や「王女は規範を破る勇敢な女性」といった意見も見かけました。

皇太子の結婚の時も、国を大きく揺るがしたニュースを記憶されている方もいらっしゃるでしょう。
交際相手のメッテ・マーリットさんは麻薬前科がある男性との間に子どもがいるシングルマザーで、彼女自身も過去に「やんちゃ」だったことが暴露されていきました。
二人の結婚会見の際、メッテ・マーリット皇太子妃は、率直に自らの過去を反省する言葉を涙ながらに伝えましたね。その率直さを評価する人々は多かったです。さらに、公務もきちんとこなす皇太子妃について、もはや過去について批判の声はありません。

それにしても隔世の感がありますね。現ハーラル国王は、民間人女性と結婚するまで交際を9年間も明らかにしませんでした。1969年、2人は結婚します。
ハーラル国王とソニア王妃は、今でも国民からの支持が高いです(ハーラル国王の名スピーチはこちらを参照ください)。
マッタ・ルイーセ王女の騒動は一区切りついたと思いますが・・・それとも??
何年かおきにノルウェー王室は大きな話題を提供してくれますね。それも伝統かもしれません。

ノルウェー王宮

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